はじめに

事務局長コメント

こんにちは。この度、上記の役職に任命された栗林です。昨年度ではプレイヤー部門(トップリーグ)・問題作成部門の両方に参加し、参加者とスタッフという両方の立場から関わらせていただきました。

私が在籍していたN高等学校は、広域通信制高校という特性上、団体戦に参加する事が中々できないという状態でした。そんな中、夏のセンバツAQLは「オンライン・実力別リーグ」を打ち出したことで、離れた仲間と共に、全国の団体とガチンコの勝負を繰り広げる事が出来ました。

また、スタッフとして試合を観戦したり、著名なクイズプレイヤーの方々に添削を受けたりなど、作成した問題にフィードバックを貰う機会が多いのも、新興のクイズ研究会に所属していた立場からするととても貴重な機会でした。

4月の頭頃、前任の市川さんからスタッフの依頼を受けました。このイベントから貰った恩に報いるべく快諾したところ、「事務局長」というポストまで付いてきました。全国規模のイベントに関わり、このような肩書きが付くのはもちろん初めてです。

挨拶を書いている時点では様々な引き継ぎを行っている段階なのですが、公式サイトに記載されている何気ない文言にも各方面への配慮がなされている事を確認する度に「とてつもなく大きなイベントに関わっているんだな」と改めて思うようになりました。

力不足は否めませんが、1年前に自分が参加した時の気持ちを思い出しながら、私なりに精一杯頑張りたいと思います。よろしくお願い申し上げます。


初代会長創設時コメント

AQLでは、秋から春にかけての「AQL2021」といったナンバリングタイトルとは別に、番外編として中高生向けの『夏のセンバツAQL』シリーズを立ち上げます。

メインコンセプトは「中高生自身で創る」「オンライン・実力別リーグ」「新設校への表彰の機会創出」の3つです。

 

中高生自身で創る

 AQLは創設当初から「みんなでつくるクイズの全国リーグ」を掲げておりました。その言葉通り、特に初期は中高生も含む出場チームが問題作成を行い、お互いに出題し合うことでリーグを成立してきました。中高チームも、大人顔負けの完成度の高い問題群を用意してきたところもありました。

 しかし、残念ながら「中高生作成の問題は、問題に偏りや不備が多い」という指摘も多く、「競技性」を阻害する事例も一部で発生しておりました。その後ジュニア参加チームの要望もあり、ここ数年のAQLジュニアの部(中高生)は「大学生・社会人が問題を作り、中高生は作らない」形に少しずつシフトしていきました。これはこれで、中高生クイズプレイヤーに「公平に、思いっきり勝負自体を楽しんでいただく」という意味では、一つの望ましい形と考えます。この機能は、「ナンバリングタイトルのAQLジュニアの部(AQL2021など)」で引き続き実現していきます。

 

 一方で、AQLは当初「みんなでつくるクイズの全国リーグ」というコンセプトを掲げました。私としては骨太な中高クイズ文化形成のためには、「クイズをつくる文化」も同時に広まっていくのが望ましいと考えており、「中高生は問題を作らず、参加するだけ」という状態はあまり望ましくないと考えます。もちろん、「中高生がクイズを創る場」として、大都市圏であれば中高生自立自営の連合組織(関東のKQA、関西のQuark、中部のCJQL等)が存在しており、加盟校の持ち回りによりレベルの高いクイズ運営がなされていると聞き及んでいます。中高生が、「問題作成」「問読み」「進行」はもちろん、会場の手配や設営などといった形でクイズ運営を仕切っていくことは、教育の一環としても評価されるべきポテンシャルを持つ活動と私は考えていますし、これら中高生の自主的な動きがあってこそ、今のアマチュアクイズ文化は(コロナ禍などで)簡単には崩壊しない骨太なものになってきたと考えています。

 しかし、昨今の感染症流行などの社会情勢等で、中高生同士だけで開催するリアルイベントに対する風当たりが強くなりつつある現状があります。また、中高生の連合組織は全ての地域に存在するわけではありません。そして、こうした「(中高生自身が)創るクイズ」が、学校関係者や社会に評価される機会が殆ど存在していない実情もあります。

 以上を踏まえ、「中高生の自主性、クリエイティビティ」を重んじながら、学校関係者を含む「社会」にも評価される形で、「創るクイズ文化」を広げていくことができないか。その思いを実現するため、社会人が陰で支えながら「中高生自身で創る」というコンセプトを掲げると共に、「クイズ作問甲子園」として「問題作成部門」を併設することに致しました。

 

オンライン・実力別リーグ

 2020年度に開催した『第1回夏のセンバツAQL』は、AQLのオンライン化に伴う準備大会『プレAQLオンライン』の一環として、2020年8月21日(金)に行われました。この大会が「オンライン」となったのはあくまで「新型コロナ流行」という社会情勢を踏まえたやむを得ないものでした。オンラインクイズは回線遅延などの問題があり、「オンライン」が「リアル」に劣る面があることは否定できません。

 しかし、オンラインにもいくつかのメリットがあります。まず開催に会場確保が必要ありません。また参加者も「交通費」がほぼかかりません。結果として地域の壁が取り払われ、多くの地方チームに全国規模の対戦をしていただける機会になった面があります。

 また、クイズの「トップ校」と「新設校」では、多くのケースで埋められない実力差があります。これに対しオンラインで全国から参加を募りクラス分けを行うことで、地域リーグとは異なる「実力別に分けたリーグ、それに基づく近い実力同士の勝負」という対戦をマッチングすることが可能になります。

 コロナ禍で生まれた「オンライン」を生かした「実力別リーグ」の大会を、「ナンバリングAQL」とは別の形で実現していくのが理想と考えています。

 

新設校への表彰の機会創出 

 様々な方の努力もあり、昨今「クイズ文化」が少しずつ学校関係者から受け入れられつつあるように感じます。AQLでも、(2022/5現在)約125の学校から学校同意書をご提出いただき、「(学校にとっての)正式な大会」として認めていただくことができました。多くの方の協力に感謝致します。

 一方で、「クイズ研を、学校非公認の団体から、学校公認の「同好会」「部」にしていく」ハードルが高いことは、これを経験された多くの中高生プレイヤーならご存知かと思います。特に「同好会」「部」昇格時には「(クイズの)実績」が求められることが多く、新設校であればあるほど「実績」を残すことは困難であるといえます。

 それを解決する一つのアプローチとして、「夏のセンバツAQL」では、大会成績や問題作成において「新設校部門」を創設することで、新設校でも表彰されるチャンスを少しでも作りたいと考えています。

 

以上、3つのコンセプトでもう一つのAQL「夏のセンバツAQL」を開催して行こうと考えております。

 

社会人の皆様、「もう一つのAQL・センバツAQL」にも可能な範囲でご支援を、よろしくお願い致します。具体的にはセンバツAQLは「収入」の仕組みがほぼないため、スポンサーからの収入や一般の部の参加費やサポーターズクラブ会費等がセンバツの運営(学生のアルバイト代や、サーバー利用代や賞状作成・郵送代)に回される可能性があることを、予めご了承いただければと思います。

 

そして中高生の皆さん、「センバツAQL」は、皆さん自身で創っていく大会になります。「皆様自身が創る」という意志が無ければ、開催はされません。もしこの構想にご賛同いただけるなら、ぜひ皆さん自身で「骨太で、永続的な、中高生によるクイズ文化」を作り上げていきましょう。

 

AQL初代会長

市川尚志

 

追記:

AQLは「AQL開催を通じてクイズを盛り上げる」ことを目的とした団体であるため、作問においては「AQLの競技性」「初心者も楽しめる」も並立する必要があります。よって、「クイズを創る」部分について、「完全に自由なクイズ」にならないことだけは、予めお断りしておきたいと思います。「問題規定や審査基準に納得いかない」「もっと幅広いクイズ問題作成文化を!」と考える方・団体も多数いらっしゃると思います。ですがもしそういった方・団体は、ぜひ違った形でのコンペ等を創設し、より多様なクイズ文化を盛り上げていただければと思っておりますし、それが理想と考えます(そういった取り組みに対し、場合によってはAQLとしても可能な範囲で支援させていただければ理想と考えます)。

 

2022/5追記:

「第3回夏のセンバツAQL(及び作問甲子園)」は、大学1年生の栗林祐太さんに事務局長を依頼し、「審査委員の人選」「ルール設定」をはじめとした「運営における決定権限」を事務局長に委譲致しました。これに伴い「AQL本戦とは独立した形の、大学生を中心とした運営」にゆるかやに移行していければ、というイメージを持っております。

 

外部で行われている「学生向け甲子園」に目を向けると、大学生を中心に運営をし出版社がスポンサードしている出版甲子園、実質的なクイズ運営を過去の参加者だった大学生ボランティアに任せているエコノミクス甲子園など、「高校生と世代の近い大学生世代を中心に運営し、社会人や協賛企業が応援する」形をとっている「学生向け甲子園」は数多くあり、センバツAQLもこの形をゆるやかに目指していければと考えております。

いずれいくつかの「甲子園」が実現しているように、「出場者として活躍した高校生」「運営側として活躍した大学生」などが、協賛したクイズに関わる企業からスカウトされる・・・そんな状態になって、皆さんがハッピーになる仕掛けの一つになっていけば、創設者としてこれほど嬉しいことはありません。

もちろん経験が浅い若手中心の運営になる以上、うまくいかないこともあるかもしれませんが、ぜひ運営の中心となる学生の皆さんへの応援をお願い致します!

 

AQL初代会長 市川尚志