『第1回クイズ作問甲子園』審査委員紹介

『第2回夏のセンバツAQL・問題作成部門(通称:『第1回クイズ作問甲子園』)』にて、問題を審査する審査委員を紹介します(五十音順)。

審査委員は、「第2回夏のセンバツ実行委員会」が、「AQL運営への多大な貢献があり、かつ問題作成面や初心者に向けたクイズ普及において活躍している方。もしくは「言葉」の分野で活躍されている方」を、バランスよく選出するよう心掛けました。

なお、審査委員各人の紹介文は実行委員長で執筆し、審査基準(あるならば任意で「理想とする問題群」も挙げていただきました)は各審査委員に執筆していただきました。

ベースとなる審査基準はこちら

*各人の審査基準はあくまで各審査委員の考えを元に執筆したものであり、全てが「AQL実行委員会として推奨する正しい問題作成方法」というわけではありません。また、夏のセンバツAQL実行委員として、内容を校閲しておりません。

 

審査委員

近藤仁美 神野莉子 高橋太郎 鶴崎修功 徳久倫康

中林もも 能勢一幸 東問 三木智隆

 

第2回夏のセンバツAQL実行委員会

輿友浩(副実行委員長・AQL神奈川リーグ代表)

 

事務局

事務局長 市川尚志(実行委員長・AQL会長・AQL埼玉リーグ代表)

副事務局長 伊藤倫(副実行委員長・AQL北海道リーグ代表)

審査委員

近藤仁美

JQA/国際クイズ連盟日本支部代表として、AQLと共にクイズ普及に取り組んでいる。またプロのクイズ作家として『高校生クイズ』『頭脳王』『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』などを担当する。

【審査基準】

私の主な審査基準は、「人のことを考えられているか」です。

たとえば、解く人がすんなりと理解できる問題文になっているか、いたずらに人を不快にさせない題材選びができているか、周りだけでなく作問者本人の楽しみも置いてけぼりにしていないか、などがこれにあたります。

また、これまであまり出題されてこなかった分野での作問も歓迎します。出題歴はなくても出題意義が十分にあるものへの気づきや、先例がない状況で素材のどこを切り取ってクイズにするかという勘所は、作者の力量が大きく問われる部分です。

皆さんの想いのこもった、AQLという場にふさわしい問題を期待します。

 

神野莉子

2020年度のAQLシリーズにて、専任スタッフ協力回数最多。また「学生」「女性」という立場で、動画作成やイベント実施など、様々なクイズ普及活動や初心者向け活動を行っている。

【審査基準】

私は審査基準の中でも特に「初心者向けの問題か」「ジャンルを偏らせていないか」に重視します。具体的には、

・初心者が答えられる難易度か

・答えが導け出せるような問題文になっているか

・1つのジャンルに問題文が偏っていないか

1人で全て判断するのは難しいと思うので、ぜひチームメイトと話し合って問題文を練ってみてください。楽しい問題をお待ちしています。

 

高橋太郎

AQL事前番組や全国大会の生放送において、複数回司会役を担当。また「ソフロレリア」名義でWebメディア『QuizKnock』のライターとしても活躍。

【審査基準】

審査基準のベースとして提示されている項目はどれも重要ですが、AQL公式ルールで使用する問題ということを踏まえ、以下の2点にとくに重きを置きます。

・ミスリードを生む問題文になっていないか

誤答が戦局を大きく左右するルールであるため重視します。ぜひチーム内で出題し合って、言葉選びや語順等ブラッシュアップしてみてください。声に出して読んだときに、違和感なく正解にたどり着ける問題を評価します。

・題材の面白さが伝わる問題文か

問題を持ち寄るという性質のため重視します。個々人の興味・関心を上手く料理してチームの色を出してみてください。なぜ出題したいと思ったのか、作問者の意図を推し測れるような問題を評価します。

2点目のお手本になるのは、三木智隆さんの「勝抜杯」のような問題群でしょうか。

それでは、珠玉の42問を楽しみにしています!

 

鶴崎修功

AQL2020では複数回ジュニア向け問読み・進行でご協力いただいた。TBS系列のテレビ番組『東大王』の初代東大王や、Webメディア『QuizKnock』のメンバーとして現在も活躍する。

【審査基準】

早押しクイズは出題する人と答える人がいて成り立ちます。出題側がどれだけ答える人のことを考えられるか、答える人のことを楽しませられるかが大きな問題と私は考えます。一方で、出すクイズによって出題側の人間のかたちがあらわれてくるというのも魅力だと思っています。なので、私の審査基準を簡単にいうと「みなさんのクイズで、参加者が楽しめそうかどうか」です。

ただし実際のところ、今回の私は参加者ではなく審査員なので、楽しませられそうかどうかを横から勝手に評価するということになります。

参加者が勝負して納得できるかどうか、参加者が楽しい気持ちになって勝負を終われるかどうか、そして自分たちは本当にこの問題を出したいのか、そのようなことをおもって問題を作ってください。

基本的なこととしては、誤解を生む文、ミスのある文、裏取りの甘い文などではあまり楽しめないと考えます。一方、発展的な部分で「このような作り方がいい!」といま具体的にいうのは、審査員の立場としては少し難しいです。

私が何を考えて問題を作るか語ることはできますが、AQLがそのような問題であふれてほしいと思っているわけではありません。

楽しませるといっても、参加者におもねるような問題がみたいわけではありません。もちろん、審査員におもねる必要はもっとありません。

簡単な問題や押しやすい問題ばかりにする必要はありませんし、歯ごたえばかりがほしいわけでもありません。

「出題側の人間のかたちがあらわれてくるというのも魅力」という言葉と矛盾すると思われるかもしれませんが、出題側の人間性が見えるほどいいというわけでも、透明なほどいいというわけでもありません。

むしろいろいろと考えてみて、1問1問を、そして42問のセットを練り上げることが大事だと考えます。

最後にいうべきこととしては、まずは審査よりも、出題者・参加者としてAQLをよく楽しむことを目指してください。その上で、みなさんの問題を楽しみにお待ちしています。

 

徳久倫康

AQLでは2018年度の東京東部リーグ代表を務め、AQL以外でも数多くのアマチュアクイズ大会において問題監修や問題作成を担当。また「競技クイズ界最強」と呼ばれ、ここ数年のクイズオープン大会での勝利数1位を記録し続けている。株式会社ゲンロン取締役であり、論考『国民クイズ2.0』などを発表している。

【審査基準】

みなさんにご用意いただくのは、AQLという団体戦の大会で、早押しクイズとして実際に使用する問題です。ですので、わたしの採点基準はただひとつ、「いま、この大会で出すのに適しているか」だけです。

みなさんが問題を届ける先は、ほかのチームの参加者であり、われわれ審査員ではありません。こんなことは百も承知でしょうが、決してこちら側を向かないでください。この企画はあくまでプラスアルファであるべきで、これによってAQLの競技性がゆがんでは元も子もないのです。

ほかのチームの顔色をうかがえというわけでも、無理に難易度や傾向を合わせろというわけでもありません。みなさんが信じる、「いま、AQLで出すべき問題たち」を出しましょう。

もちろん、問題は責任を持って拝見します。でも、本当に自信を持って送り出せる問題群であれば、実際に押し手に楽しんでもらえていれば、審査結果なんて取るに足らないものです。外野がなんか言ってるな、くらいに聞き流してください。

 

中林もも

AQLでは企業渉外担当として日本経済新聞社様など企業との交渉に従事。クイズ歴は審査員の中では最も浅いが、『LockOut通常大会優勝』など、近年勢いある女性クイズプレイヤーの一人として知られている。『新世紀エヴァンゲリオン劇場版・序』の英語監修をはじめ、アニメ・ゲーム業界を中心に翻訳・英語監修・脚本など幅広く活躍している。

【審査基準】

言葉に関わる仕事をしておりますので、①「助詞の使い方や主語と述語の対応に間違いがないこと」を重視します。

また、②「早めに押してもきちんと正解を導けるような工夫」のある問題は高評価になると思います。

 

能勢一幸

AQLでは設立当時から埼玉リーグにて教育委員会後援取得活動に尽力。プレイヤーとしては『第15回アメリカ横断ウルトラクイズ』で優勝したレジェンド的存在。また埼玉県職員として「埼玉クイズ王決定戦」の監修なども行っている。

【審査基準】

審査委員の中で最年長の立場として、昭和時代のTVクイズからオープン大会の黎明期、そして一問一問が洗練された現在まで、クイズの歴史を見て触れてきました。みなさんの渾身の問題群の中から「まだこんな視点があったのか!」と感じさせてくれたり、結果的に私にとっては「懐かしい」と感じさせてくれるものがあったりしたら高評価を与えたいと思います。

また、埼玉県のローカルイベントである「埼玉クイズ王決定戦」の問題監修として約10年間、埼玉県を色々な角度からクイズ問題という形で発信し続けてきました。そこでは初めて早押し機に触れる方も多く、いかにボタンを押して答えてもらえるかということに知恵を絞ってきましたので、今回の問題群で、そういった「初心者への配慮」をより強く感じることができたところにはやはり高評価を与えたいと思います。

一方で、ジャンルの偏りには厳しい目を持とうと思っています。文学・科学・生活などのジャンル分けはもちろんのこと、異なったジャンルでも出題内容がそれぞれに近い地域のことだったり、同じような年代のものが重なっていると減点の対象となりますのでご注意ください。

同じ問題群でも並べ方で印象が変わるなど工夫すべきポイントはたくさんあります。みなさんの「クイズ愛」を感じながら採点に取り組みたいと思っています。

 

東問

「高校時代大好きだったAQLに恩返ししたい」という思いのもと、AQL2020ジュニアの部全国大会にて問題監修を担当。プレイヤーとしては双子の兄弟である東言らと共に優勝した『第38回高校生クイズ』の他、数多くのクイズ大会で活躍をしている。今回の最年少審査委員。

【審査基準】

どうやら最年少審査委員らしい東問です。最年少なので若さを推した採点基準を設けようかと考えましたが、全然思いつかなかったので普通のことを書きます。

「クイズの問題」を作る時には大きく2つのステップがあると思います。①題材選び ②成文化 です。どちらに時間がかかるかは人によって違いますが、どちらもとても難しくて考えながら慎重にやらなければなりません。

また、私がクイズの問題が備えていて欲しいなと思うことも2つあります。「⑴その問題を早く押して正答できる人が評価されるに値する」と「⑵問題として面白い」です。

⑵は人によって感じ方が違うと思うので置いておきますが、⑴がどのようなことを意味しているかを説明します。例えばスポーツに関する問題は、同じ知識をクイズで仕入れたクイズプレイヤーより、そのスポーツのプレイヤーの方が早く押せて正答できる問題の方が良い問題だと思います。

【具体例】

カバディに関する問題を出すなら、「カバディにおいて/」で押して「レイダー、アンティ、キャントの3択だ!」と考えるクイズプレイヤーよりも、カバディプレイヤーの方が早く押せそうな問題を考えてみましょう。

①題材選びにおいては、上記の3択以外を答えにしてみるという方法があります。例えば、

「外側の選手が内側の選手の手首を握り2人一組となる、カバディにおけるアンティの基本技術は何でしょう?」

→「チェーン」

などでしょうか。また、この問題では②成文化において、早押しクイズの構造の基本となる「段々ヒントを出して答えを絞らせる」という問題文の構造をあえて外しています。(前フリには特徴的な単語がひとつも入っていませんが、単語反応クイズみたいなものを避けられると思います。)

上記の3択から出題するにしても、②成文化で工夫をして「2人一組となって手を繋ぐチェーンなどの技術を用いてレイダーを捕らえる、カバディにおいて〜」→「アンティ」みたいな感じにすれば、分かっている人が早く押せる、いわゆる「本質っぽさ」を醸し出すことができると思います。

(なお、今回の審査基準には難易度の適切さというものがありますので、AQLで出題するなら後者の問題の方がいいかもしれません。)

スポーツ問題を例にとって書きましたが、その他にも「その小説を読んだことがある人」が、「そのお寺に行ったことがある人」が早く押せる問題を評価しようと思います。もちろん、書き出しフリも山号フリも便利ですし、クイズの勉強を沢山している人が早く押せるので全然悪くはないです。ただ、より工夫を凝らした問題の方を高く評価しようとは思っています。

また、オンラインクイズの比率が高まっている昨今の情勢では、問題の評価基準に変化が生じていると思います。オンラインクイズはどうしても通信によるタイムラグなどがありますから、そういった環境に左右されない、押し合いになるベタフリを避けた問題を高く評価する、という理由があることも知っていただけると幸いです。

以上は「クイズの問題」を作る話をしましたが、今回提出していただくのは「クイズの問題群」です。これもまた難しい話なのですが、ただ「良い問題」を42問集めれば「良い問題群」になるわけではありません。審査基準にも書かれている通り、ジャンルの偏りや並び替えなどを考慮してください。ただ、様々な地域のチームが問題を作るというAQLの特性上、「ご当地問題が多めに盛り付けられている」のような味はアリだと思います。

作問者/サプライヤーもプレイヤーであるというのが競技クイズの、AQLの特徴であり良いところだと思っています。色々書きましたが、「参加者がクイズを楽しめるような問題を作ろう!」という気持ちで取り組めば、自ずと良い問題群になると思います。みなさんの問題を楽しみにしています。

 

 

三木智隆

AQLでは千葉リーグや埼玉リーグにて初心者向け企画を実施、特に千葉リーグでは「ソメイティ連合監督」として、初心者ばかりの中高生たちを導いた。1999年から20年以上続く大規模競技クイズ大会『勝抜杯』の主催者であり、QuizKnock12時間クイズへの問題提供も行っている。本職はスポーツ記者。

【審査基準】

 今回、審査員を務めることになりました三木です。私が審査で重点を置くポイントは以下です。

①客観的な事実に基づき、正確に出題しているかどうか。

 クイズにとって、最も大事なことだと考えています。答えを一つに絞れる問題文にしてください。

②クイズの世界の知名度ではなく、世の中で一般的な内容を問えているか。

 クイズ界の中で有名でも、世の中でほぼ知られていないような事柄の出題に対して、高い点数は与えられません。老若男女、さまざまな属性の方の正解率を意識してください。普段、目にしているものや生活からネタを拾うように、心がけてください。

③クイズ的な文法ではなく、自然な日本語として問題文を構成できているかどうか。

 ニュースで耳にするような一般的な言い回しを心がけてください。たとえば、「その初代所長を●●が務めた~」「鉄にこれをメッキしたものはブリキと呼ばれる~」といった、指示代名詞が文頭に入る問題などは自然な日本語ではないと判断しています。指示代名詞は前に出た事柄を指すためです。他の同音異義語を連想するような言葉、難解な熟語は、耳で聞いて一度で分かるような表現に換えられないか、工夫してみてください。

④AQLルールで勝敗をつける上で、適切な問題群かどうか。

 スルーが続くような問題、ミスリードを誘いかねない問題、ジャンルや構文が偏り過ぎている問題の評価は低くなります。

⑤着眼点や前振りを工夫し、問題文にオリジナリティーを打ち出せているか。

 ①~④を踏まえた上で、初めて⑤に挑戦してください。独創的かつ奇をてらっていないクイズを期待しています。機械的な問題の羅列ではなく、耳で聞いたときに問題作成者の顔や素性が思い浮かぶような問題が、一定の割合で入っていることが理想です。

⑥世間の流行、ニュースを題材に取り入れているかどうか。

 単純な時事問題だけではなく、時事的な要素を問題文に散りばめているクイズは高く評価します。この要素は私の好みが特に大きい部分です。

 具体的には、クイズLIVEチャンネル、田中健一さんの「至高」「QuizistA」シリーズ、abcの問題群は、高く評価しています。また、私の自作問題で構成している「勝抜杯」「12時間クイズ2020」は、私にとっての理想を追求した問題群ですので、こちらも参考にしてください。

 

第2回夏のセンバツAQL実行委員会

輿友浩(副実行委員長・AQL神奈川リーグ代表)

(追記:当初は実行委員会の市川・伊藤も審査に加わる予定でしたが、問題データ処理担当がおらず二人が担当したため、市川・伊藤が作成チームを見てしまいました。よって、輿一人で担当しましたので、実態に合わせ表記を変更しております。審査文も輿が記述したものです。)

「第2回夏のセンバツ実行委員会」を代表して、輿が審査を行いました。

 

【審査基準】

事務手続き上の問題から、「締め切りまでに、書式通りで提出している」ことを最重視します。これが守られてないと運営に迷惑がかかりますので、最低限守ってほしいことです。書式については「Excelが使えない」というチームがあるので仕方ないですが(その場合先に申し出て下さい)、締切については厳しくとります。「事前申告なしに締め切りを守ってない団体」の問題は、どんなに質が良くても実行委員会としては最低点とさせていただきます。

その上で、「(難易度を適切に抑えたうえで)出題ジャンルを広げていること」「公平性」を重視します。AQLは「クイズの勉強を必死でやっている中高生」に加え、色々なバックグランウンドを持つメンバーも加わり、チームとして戦えるのがよいところと考えています。よって、「色々な方が反応できる」ことを意識している問題群を評価します。また、AQLには多くの地域の学生さんが参加しますから、その点を公平になるような出題を心掛けていることも確認したいと思っています(例:「完全な地域ローカルネタ(他地域がほぼ知りえないもの)は避ける」「地域ローカルネタでも全国的に知られているならOKだが、その分他の地域も公平になるよう出題幅を広げる」など。(追記・もちろん、出題チームの地元に関する「色」を出すのはアリと考えます!)

皆様の問題を拝見できるのを楽しみにしています!